日本のエンターテインメント市場を長年牽引してきた「ジャニーズ」事務所。SNSが全盛となった今の時代にも多くのアイドル・タレントを世の中に輩出しており、テレビ、雑誌、映画、ドラマ、コンサート、舞台など様々なジャンルで影響力を保持している。
エンターテインメント分野でのその長年の功績を最大限に讃えつつも、今回は、筆者が「ジャニーズ」を嫌いだと思う理由について、記載する。
公共の電波を寡占し、身内ネタでクロスセルマーケティングを実現、”島宇宙化”を実現している点
それはずばり、公共の電波を寡占し、出演者の間で身内ネタを披露しつつ、利益の最大化を図っていることだ。この点について解説していこうと思う。
まず、ジャニーズ所属のタレントは、数多くの民放番組に出演している。ドラマだけではなく、バラエティ番組に出演する機会も多い。お茶の間の視聴者はたいていの場合、ジャニーズ所属タレントをバラエティ番組で認知することが多いのではないだろうか。
もちろん彼らがキャスティングされるのは、スキル・実績・認知度などが一定程度評価されてのことであろう。しかしこのテレビ出演に、ジャニーズが持つパワーの源泉があることは言うまでもない。テレビ出演は、認知拡大・ファン獲得、親世代へのリーチ、ステークホルダーの増大など、絶大な効果を持つはずだ。
そして、その際の振る舞いに、カラクリがある。ジャニーズタレントはテレビで、同社所属の先輩・後輩の話をすることが多い。タレント同士が共演した際には、互いに“身内ネタ”を憚らず話す。実はここで、タレントたちは”護送船団”のような働きを見せている。
ジャニーズタレントのファンたちはこれによって、自身が”推している”もの以外のグループにも目を向けるようになるのだ。このようにしてジャニーズタレントの関係図が公になっていけば、”私が推しの〇〇くんが、〇〇くんと仲が良い、〇〇くんの話をしていた”といった具合に興味が広がっていく。これはある意味においては、クロスセルマーケティングの実現につながっていると言えるだろう。
そして最終的に、現代社会では最もパワフルな要素ともいえるファンの”島宇宙”化を実現している。ジャニーズ所属タレントが好きなファンはたいていの場合、ジャニーズ全体が好きだ。
公共の電波での身内ネタの是非
もちろん、公共の電波で身内ネタを披露するのはなにも、ジャニーズタレントに限ったことではない。例えばお笑いの分野でそれは顕著だ。吉本所属の芸人はどうだとか、マセキ芸能社所属の芸人はこうだとかいった具合に、笑いのタネとしてよくエピソードが提供されている。ただそこには、万人に笑ってほしいというパブリックな要素が強く込められているように思う。
ジャニーズの場合ももちろん、笑いのエピソードとして身内ネタが語られることもあるが、気になる点が目立つ。例えば言葉遣い。公の場で、「君付け」は当たり前だ。また、まだあまり認知されていないタレントも、前提の説明なしで名前が出てくる。これらの要素は、特定のターゲットに向けた振る舞いだと見られて仕方だろう。実社会の常識では、公の場で社内の話を我が物顔でしない。自社内の人物について語るときは、「部長の〇〇が」といった具合に呼び捨てにする(若しくはさん付けにする)のがセオリーである。
テレビ番組は公共の電波で、放送法で定められたフェアなものだ。身内ネタを一切披露するなというのは暴論だが、その頻度や、その際の配慮についてはもっと突き詰められるべきではないだろうか。
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