中年男性の、同意を求める「ん?」が嫌だという話

青いクエスチョンマークの画像 考察・気づき、考え方
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筆者の中年男性の親類は、会話の最中に時たま「ん?」と言う。数十年来、一貫してそうだ。
そして私や別の親類は、この言葉を胸の内で”嫌だ”と思ってしまう。この言葉の正体は、一体何なのだろうか?筆者が考察した。

「ん?」は具体的には同意を求めるシーンで出てくる

この「ん?」が出てくる具体的なシーンを紹介する。例えば、雨が予報されている翌日に、妻が買い物のために外出するか室内にいるかを判断しかねている場面を、挙げてみよう。

  • 夫「明日は雨が降るそうだな」
  • 妻「ええ」
  • 夫「明日は家にいろよ、買い物は明日でいいじゃないか」
  • 妻「うーん(迷い)」or「うん(肯定)」※このどちらでも次の表現は用いられる
  • 夫「ん?」

この「ん?」だ。(※聞こえ方によっては、「うん?」と表記しても良いのかもしれない。)
では次に、この「ん?」の意味を考察する。

これは英語に置き換えた場合の「Aren’t you?」「Don’t you?」に相当するのではないかと、筆者は考えている。つまり、「だろ?(ですよね?)」ということだ。答えの催促・確認、とも言える。厳密にはこのほかに、答えに若干詰まる場面(間に空白ができる場面)でも、「ん?」と催促されることがある。

それではなぜ「ん?」が嫌な風に聞こえてしまうのか。それは、この言葉が「高圧的」だとも取れるからだ。会話相手の立場に立ってみると、自由意思を示そうとする場面で、意見をまるめ込まれたり、催促されたりしかねない、ということになるのである。もちろん発話者にとっては表向きにはそんな気はさらさらない、というケースもあるだろう。しかし、結果的にこういった現象が起こり得るということは、おおむね事実のはずだ。

さて、筆者は日常的に、あらゆる人々の日常会話を分析しているのだが、不思議と50代以下の男性でこの「ん?」という言葉を遣っている人は少ない。なぜだろうか。

若い男性が「ん?」をあまり使わないのは時代感が変化したからか 昭和映画のセリフなどでは登場

それは、時代感が変化したからだと筆者は考える。具体的に述べると、男性が家長的立場から降りつつある現代で、男性が「ん?」という他者への意思確認を行う機会が少なくなった、ということではないだろうか。

先ほどの例も、立場が強い男性(夫)と、女性(妻)の会話である。そう、この「ん?」は、おおよそ目上の人に対しては遣われず、二者におけるある種の上下関係が定まっている場合において、顕著に用いられるのだ。

もちろん、時代の文化・常識によって必然的に醸成された言葉である。発話者の賛否を問いたいわけではない。また「中年男性」とセグメント分けすることで、何かしらの偏見を生みたいわけでもない。本文はあくまでも考察の主旨で記したものであり、この点は、読者の方に何卒ご了承いただきたい。

実は昭和に制作された複数の名作映画では、この「ん?」という言葉がたまにセリフの中に登場する。その話者は、たいてい面倒見のいい親分肌だ。「ん?」の裏には、人知れぬ愛情や庇護欲があるのかもしれない。

皆さんの周りに「ん?」と発話する人はいるだろうか?恐らくこの記事をご覧になっている方は筆者と似たような気付きを持った人だと思うが、この貴重な機会に、このことについて改めて考察してみてほしい。

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