B’zのギタリスト・松本孝弘さんが体調不良により、主催の対バンライブ『B’z presents UNITE #02』への出演を辞退すると発表されました。SNSではファンから心配の声が上がっています。よって今回の発表を読み解きたいと思います。
病名や症状は一切発表されていない
今回の発表で、松本さんの具体的な体調や、医師の診断による病名・症状等は一切発表されていません。他者の健康状態や病名を推測・憶測で決めつけたりすることは、名誉棄損にあたる行為であり、倫理的に重大な問題があります。ゆえに読者の皆様には、厳に慎んでいただきたいと思います。
松本さんは「この先まだまだ音楽活動を続けるためにも、今回は大事を取って出演を断念しました事、ご理解頂けましたら幸いです。必ず元気になってLIVE-GYMのステージに戻って来たいと思います!」とコメントしています。このメッセージをまずは、そのまま受け止めるべきでしょう。なおB’zは今冬にドームツアーを開催することをすでに発表しています。松本さんの体調が回復すれば、遅くともそのツアーまでに松本さんがステージに復帰することでしょう。
他方で、サポートメンバーに追加となった大賀好修さんが5月18日の時点で6月21日・22日、28日・29日のイベント出演(『B’z presents UNITE #02』と同日)をそれぞれキャンセルしています。このことから大賀さんが松本さんの代わりに出演することがこの時点ですでに検討されていた可能性も、考えられます。となると、今回の体調不良は短期的な感染症罹患などとは考えにくく(そもそも出演自体発表がイベントの10日前である6月11日)、中期的以上の治療・回復が必要である何かしらの症状であったことが、想定されます。
これまでに松本さんの健康状態に関することは公表されていたのか
これまでの活動において、松本さんの健康状態に関する発表が行われたことは一度もありませんでした。また出演ライブを体調不良で辞退することも、一度もありませんでした。B’z名義のライブ活動をボーカルの稲葉浩志さんが一人で行うのは、『B’z presents UNITE #02』が史上初となります。
もちろん生身の人間でありパフォーマーですから、さまざまなコンディションの時期があったことと思います。しかし松本さんはそれを表には知られないように、多くを語らずして、音楽活動一筋に、ストイックに活動してこられたのだと思います。このアティテュードは尊いものであり、重んじられるべきだと思います。
松本さんの健康状態を示唆する要素はこれまでにあったのか
それでは、直接の言及がなかったとしても、これまでの活動で松本さんの体調やギタリストとしてのコンディションを示唆する要素はみられたのでしょうか。
筆者が感知している部分では、主に以下の要素が挙げられます。
2010年代以降、ライブでのカッティング奏法などが減少
まず2010年代以降、サポートメンバーにギタリストを加えたほか、カッティング奏法などの一部のメインパートをサポートに譲るようになりました。もちろん愛弟子である後進の育成という側面もあるかもしれませんが、自身の演奏負担、とりわけフィジカルの負担を軽減するためだと推測することもできなくありません。
また、同時期から右手首にリストバンドを着けるようになりました。もちろん、手首の擦れを軽減したり、汗の滴りを防いだりといった実用的な理由も想定されますが、例えば手術痕などの傷を隠す目的にも使うことができるでしょう。
そもそもギタリストは、手首や指に甚大な負荷がかかる職業です。
松本さんは具体的な症状については一切明言したことがありませんが、15歳の時から50年近くプレイしている以上、何かしらの職業病と付き合い続けている可能性は十分に考えられます。
ギタリストの職業病として、”猫背になっている”ことはインタビューで言及
また手首とは別の職業病として、かつてのインタビューで松本さんは、自身が5kgを超えるレスポール・ギターをよく使用する話題に触れ、それによって背中が丸くなっている(猫背ぎみになっている)ことを明かしたことがあります。もちろんこれは単なる日常的な姿勢の話であり、それによって根本の健康状態がどのように変わった、ということを示したものではありません。
ここからさらに拡張して考えると、ギターの重みや慢性的な姿勢によって腰痛や各種炎症・神経痛などの症状は起こり得るかもしれません。いずれにしても、ギタリストがフィジカルな仕事であることが痛感させられます。
2023年以降は、ライブ中に休憩タイムも
2023年以降のライブでは、『B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』や『Tak Matsumoto Tour 2024 -Here Comes the Bluesman-』では、松本さんが本編中に休息をとるセクションも設けられるようになりました。もちろん昨今の酷暑を乗り切る観点もありますが、患部を休める目的があったかもしれません。
私が知る限り、松本さんのコンディションについて示唆される要素はキャリアの中で上に記した程度だったように思います。しかし、これらの各要素が個人の健康状態を示唆するものだと決めつけることは、絶対におやめください。
いずれにしても、松本さんは音楽という成果で応え、それをもってファンに判断を委ねる姿勢を貫いています。その姿勢は、言葉があふれるこの時代において、ひときわ輝きを放つものです。私たちファンにおいては、その意志を尊重し、届けられたメッセージを胸に、また元気な姿でお会いできる日を温かい気持ちで待つ、そういった心構えが何より大切だと感じます。
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