先日筆者は腰を痛め、「整骨院」と「ストレッチ店」を訪れた。そしてそこで、えげつないくらいの勢いで「回数券」の購入を勧められ、とても驚いた。日本人には断ることが苦手な人が多い。同じような場面で困っている人も多いのではないだろうか。そこで今回は、こういったいわゆる営業・勧誘トークを受けた際に上手に断れる方法について、筆者が具体的な案を示そう。
王道パターンは「初回割引→トーク→初回限定価格の提示→回数券購入」
もちろん良心的なサロンや院も世の中には沢山あるのだが、押し売りが強いタイプの店舗でよくみられる、予約から回数券の成約までの流れについて、筆者がまとめた。
- WEB上で「初回限定価格」で集客
- 来店後、ヒアリングをして施術
- 施術終了後に営業トークを開始
- 限定価格を示すなどして次回以降の「回数券」を購入させる(次回の予約を取り付ける)。
消費者はWEB上で、数千円単位の価格での施術を予約する。来店後には身体の困り事などを一通り聞かれた上で、実際に施術を受ける。施術後には、1回の施術では根本的解決には至らないと説明され、次回以降の、数万円単位の「回数券」の購入を勧められる。この一連の流れこそが、これらの”業界”でよくみられるパターンだ。
消費者の中には、数千円で1回の施術を受けたいと思って深く考えずに来店したという人もいる。そういった人にとってみれば、いきなり高額サービスを押し売られてしまった、という印象を受けることもあるだろう。そもそも施術後の経過も分からないままに数万円のサービスの購入を即断させること自体、少々強引だと言えなくもない。
他方、店舗側の視点としては、そもそも業界水準として施術単価が高額であり、初回を大幅に割り引いていることこそがイレギュラーな状態であると言える。集客のための特例価格で施術を行っているのだから、その後に多少強気の営業を推進しないと、店舗としての利益を確保するのが難しくなる、というのも実情だろう。
断ることを「申し訳ない」と思う必要はない
さて、ここまで成約までの流れや両者の言い分を整理したが、いよいよ次に、実際の断り方について解説する。
まず重要なことは、消費者が断ること自体を「申し訳ない」と思う必要はない、ということである。
あなたは悪意を持って来店しただろうか。たいていの人は、そうではないだろう。そして何より、本人が施術を受けた結果、本当に必要だと思ったサービスなら、それを自由意思の下で購入すれば良いというだけのことだ。買う動機が「相手に申し訳ないから」というのは、筋違いであると言えるだろう。
咄嗟に思い付いた理由を言わないこと、長引かせないことが重要
では断りたい場合にはどうやって断れば良いのか。断るのが苦手な人・どちらかというと気が弱い人がよく取ってしまう行動は、「スケジュールに余裕がなくて」「家から遠くて」といった具合に、その場で咄嗟に思い付いた理由を述べて誘いを断ろうとする、というものである。もちろん、しかるべき理由があるのなら、それを伝えるのも良い。だが逆にこれが逆効果となり、トークが長引いてしまう可能性もある。なぜか。
半端な理由を言えば、相手はそれを徹底的に崩そうとしてくるからである。例えば「通う時間が取れなくて」と言うと、「回数券は無期限(ないしは半年間など長期間)です」と返す、というようにだ。
他方、断るのに有効だと思われるセリフは、以下の通りだ。
- こんなに(回数券が)高いとは知らなかった。高額な商品の購入は配偶者(夫/妻)・家族(親)と相談してからすると決めているので、この場では決められない。
- 他店舗と比較してから決めたいので、今日は契約できない。
実際に家族ルールで支出を制限しているのは、よくある話。他店舗と比較するのは、消費者の当然の権利だ。
そもそも、上記のような作ったセリフを述べるのではなく、断る理由を明確に言わない、という選択肢もありだ。相手は深掘りしてくるであろうし実践の難易度は高いが、(回数券を)買わないと決断したので、といった具合にきっぱりと結論を述べ断るのも、大変有効だろう。
自由意思なのだから、そもそも断る理由さえなくても、また伝えなくても良い。
最後に、筆者の体験談を添えておく。冒頭に記した「整骨院」の施術担当者の男性は、筆者が回数券を断った約2週間後に、他店舗へ自ら望み異動となった。「ストレッチ」の施術担当者の女性は、回数券を断った直後にその場で苛立ちを見せ、使用後の紙コップを投げるようにゴミ箱に捨てた。これらのことに対して具体的に何がどうと言いたいわけではないが、世の中とは意外とそういうものだ、ということである。
とにかく、断りたい時には、正直に断るべきだ。もし仮に意に反して契約してしまったら、クーリング・オフ制度の利用なども検討しよう。
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